2020年2月 – 女川さかな手帖

メヒカリのから揚げ

先日おかせいのお店に行くと、メヒカリが売られていました。

 

年中漁獲のある魚ではあるのですが、これからの時期に大きくなり旬を迎える魚の一つです。

全長は10㎝に満たないほど小さい魚で、最近では石巻の底引き網で漁獲されたものがここら辺では出回っています。

 

深海に棲む魚でその名の通り目が光っているからメヒカリと呼ばれます。

 

身質が柔らかく、揚げ物との相性が抜群なこのお魚を今日は地元では定番のから揚げにしてみました。

 

頭や内臓をとらずにそのまま丸ごと食べることができますが、頭と内臓を取り除くと雑味がなくなり、より身のおいしさのみを堪能できます。

この段階で塩を振っておき、下味をつけておきます。

今日は頭付きを半分、身だけを半分にしてどっちも作ってみました。

片栗粉を付けて、180度の脂で2分程度揚げると中まで火が通りつつ、外かり中ふわに仕上がります。

 

塩はお好みで。十分に味がします。

身が柔らかく、から揚げには最適の魚だと改めて実感しました。

頭がついている方も魚独特の風味を味わうにはもってこいで、身だけの方はおいしい身だけの味がするので子供には最適かと思います。

メヒカリを見つけたら是非お試しください!

雨水 │ 次候[ 海鞘始獲- ほやはじめてとらる ]

こんにちは!

女川の魚屋おかせいで、殻付きのほやが売られていました。
ずいぶん早いなあと思って、今シーズンのものかと聞いてみたら、そうだよとの返事。
ほやの収獲がもう始まっているんですね。
確かに、最近は、この時期でもほやが並んでいるのを見るようになった気がします。

ただ、実はこの時期のほやは、12月に産卵を終えたばかりで、まだ身を食べるには十分にその厚さが戻ってません。
よく藤の花が咲いたらほやの収穫の時期の始まり、などと言われますが、再び栄養をとって身が厚くなって本格的に収穫が開始されるのは、3月の中旬くらいからで、収穫は8月末まで続くのですが、やはり、美味しさでいうと2月の早い時期のものと7月の身が分厚いものとでは質が違います。

一般的には気温が高くなってくる初夏から夏の時期のホヤを好んで食べる人が多く、「梅雨ぼや」などと呼ばれ、旬もこの時期です。

一方で、まだ身が薄く水っぽい今の時期のほやが好きだという人もいて、早めに収獲する漁師さんもいるということなんですね。
ほやとともに育ってきたこの地域の人にはそれぞれ好みがあるのかもしれないですね。

殻についたままのほやは一見新鮮に見えますが、独特の匂いを発する原因でもあります。
ほやの味を純粋に味わうには、収獲してすぐ殻をとってきれいに洗って冷凍したものが一番です。

鮮冷は、CAS凍結という素材の味わいを損なうことのない凍結技術で、一年中ほやを美味しく食べられる技術を確立しています。
ほやが待ち遠しい!という方は、ぜひ「三陸女川刺身ほや」もお試しくださいね(^-^)

三陸女川刺身ほや
https://www.senrei-fishmarket.com/c/frozen/sashimi_hoya

雨水 │ 初候[ 鹿尾菜繁- ひじきしげる ]

春になってくると、わかめやふのりなど、海藻が繁っておいしくなってきます。
今日ご紹介するひじきも、そのひとつです。

ひじきはワカメより浅く、ふのりなどが繁茂する磯に生える海藻です。
昔は女川のどこの浜でも獲れていたのですが、温暖化などの影響で現在は収穫の量が少なくなってきていて、心配です。
内湾より外洋の地形の磯で穫れ、女川の外洋よりだと石巻にはなりますが、寄磯浜などでよく穫れます。

収穫期になると、浜ごとに収穫の合図がでます。
だいたい毎年2月ごろから獲れ始めて4月ごろまで収穫が続きます。。
漁師はカマをもって岩に張り付くようにして生えているひじきを収穫します。

一般的に長持ちさせるために収穫後に茹で上げてから乾燥させて市場に出回ることが多い
ですが、地元ではこの獲れ始めの時期には茹で上げられたままの「生ひじき」が魚屋に並びます。
「生ひじき」とは言っても、生(なま)そのままでは食べられず、茹でたものを食べます。
この工程の中で最終的にひじきは我々のしる真っ黒な姿へ変わっていきます。

乾燥ひじきに対して「生ひじき」は麺のように切る前の状態で出荷されるので、他の海藻に
感じられる海の味というのはそれほど感じられるものではありませんが、柔らかく肉感のある素材そのものの食感を楽しめます。

「生ひじき」も女川の味として、ぜひ味わっていただきたいもののひとつです。(^-^)

女川七十二候:立春 │ 次候[ 真牡蠣栄- まがきさかう ]

10月初旬頃から収獲された牡蠣も、いままさにピークを迎えています。
牡蠣には「岩ガキ」と「マガキ」がありますが、三陸の海で主に養殖されている牡蠣はマガキです。
「岩ガキ」は日本海側で多く旬も夏。「マガキ」は三陸で多く養殖されていて、旬は冬。マガキは、ほとんどが養殖ものです。

マガキは夏場に産卵するため、味がグッと落ちてしまいます。
痩せた牡蠣が太り始め食べられるくらいの大きさになる秋、だいたい10月初旬頃から収獲が開始されます。
夏に獲った種苗をホタテの貝殻に付着させて、秋にそのタネをしずめ、そこから1年、2年後の秋に収穫が始まるのです。

三陸が養殖に適する理由は、リアスの地形が生んだ山と海の近さです。山の森から運ばれてくる栄養が豊富に海に流れ込み、流れの穏やかな内湾地形でそのエサを存分に吸収できるため、おいしいカキができます。
しかもきれいな水で育つために、生食でのカキ出荷量は宮城県が一番。

この時期の牡蠣はまさにピークです。(^-^)

女川七十二候:立春 │ 初候[ 鮑螺数茹- あわびつぶしばしばゆでらる ]

今回のテーマは、つぶ貝です。

実際にそういう名前の貝がいるわけではなく、つぶ貝というのは、食用にされる一部の巻貝の総称で、いくつもの種類があります。
そのうち、女川で、特に愛されているのが「アワビつぶ」と呼ばれる種類です。
アワビつぶというのも、地方での呼び名で、正式には「もすそ(裳裾)貝」といいます。
裳裾は着物の裾のことで、身が大きくはみ出して裾を引きずっているように見えることからついた名前です。

アワビつぶと呼ばれるのは、アワビに似ている美味さがあるからです。
でも「むしろアワビより美味い。」という地元の声があるくらいです。
「アワビは生でも煮ても味がない。食感だけ。でもアワビつぶは塩っけがあり味のあるアワビという感じ」と表現する人もいます。
地元ではボイルして食べるのが普通です。青森でもよく獲れますが、青森では煮付やおでんで食べるのが有名かもしれませんね。

女川七十二候は「鮑螺数茹(あわびつぶしばしばゆでらる)」。
魚屋おかせいでも、茹でたアワビつぶ、販売していますよ。

漁法はかご漁です。というよりも、タコやアナゴをとろうするとかごに入ってくる副産物のようなものになります。これを目的にして漁をするわけではないのですが、副産物としては、とても贅沢ですよね(^-^)